@syouggg です。今回は厳冬期五竜岳へ登った時の記録です。雪山を本格的に始めて1年目に登った時のYAMAPの記録を参考にルートの紹介をしていきます。恐らく2023年度の冬山シーズンも冬山練習のために五竜岳は登ると思いますので、その時は新しい記録を更新します。
今回のルート
1日目 白馬五竜とおみ駅→遠見尾根→西遠見山
2日目 西遠見山→白岳→五竜山荘→五竜岳山頂→遠見尾根→白馬五竜とおみ駅
YAMAPの夏山標準コースタイムで10時間。距離は15kmで登り1679m下り1679mです。これはあくまでも夏山五竜岳の往復標準ルートです。厳冬期シーズンはこんなわけにもいかず、ラッセルがあったりする可能性があるので標準コースタイムの2倍はみておきたいところです。
今回は雪降る中での山行となり、ラッセルや進めないほどの強風が吹き荒れていたこともありかなり時間がかかりました。ワカンは持ってきてよかったなと感じたアイテムの一つです。
コースの難易度
厳冬期五竜岳を目指すのであれば難易度はかなり高いです。西遠見山までは雪庇に気をつけながら進めば特に難しいポイントはなく雪山初心者でもおすすめのコースです。コンディションによるところはありますが、五竜山荘から山頂間に難所がありトラバースや長い氷壁を登るポイントがあります。
冬の西穂高岳と比較されることがありますが、圧倒的に五竜岳の方が難しいです。体力的にも技術的にも冬の西穂高に登れる力がないと五竜岳への挑戦はやめた方がいいと思います。
日帰りでも行けますが、テント泊で余裕を持っての計画がおすすめです。
厳冬期五竜岳登頂記録
一泊二日の山行記録です。
その前に、東京や名古屋、大阪から来られる方は毎年12月から3月くらいまでジャムジャムライナー(→ジャムジャムライナー公式サイト)が運行し、白馬五竜への直行夜行バスが出ているのでおすすめです。バスでも寝れる方であれば移動の費用もかなり抑える事ができます。
2023年は12月22日より運行開始のようで土日はすぐにいっぱいになるので早めの予約をおすすめします。
白馬五竜テレキャビン →遠見尾根登山口
白馬五竜スキー場のテレキャビンに乗り遠見尾根の入り口まで移動します。とおみ駅では始発便からスキー客や登山客が並びますのでできるだけ早めに並びましょう。
アルプス平駅まで着くとそこから徒歩で登山口まで行くこともできますが、少し下り課金をすることで楽に上まで上がる方法もあります。
断然リフトの使用がおすすめです。笑 白馬五竜高山植物園をリフトで通り、終点から少し歩くと遠見尾根の登山口に着きます。
ワカンやアイゼンが必要であればここから装着し進んでいきます。ビーコンがないと入山できないわけではありませんが、ビーコンのチェックポイントがあります。
遠見尾根登山口 9:00 → 小遠見山 10:30
この日の天気予報はいいとは言えない予報で、雪がチラつき前日にもなかなかの積雪があった模様。トレースはバックカントリーの踏み跡が少しあるだけで登山者の先頭は自分でした。
雪が深くなり始めたのでワカンを装着。テント泊の重量で元々かなり沈み込んでしまうのをかなり抑えてくれたはず!この辺りであの有名な元オリンピック選手でプロスノーボーダーの国母さんと会いました。あの有名な会見「反省してまーす」の雰囲気は全くなく人の良さそうなおじさんでした。
小遠見山 10:30→中遠見山→大遠見山 12:00
天気が良ければ鹿島槍ヶ岳のカクネ里雪渓が見れるのですが、そちらの方面は視界ゼロ。そして風もかなり強くなってきました。小遠見を超えたあたりからはバックカントリースキーヤーと自分のトレースのみ。スキー板があればスイスイ進めるが膝が埋まるほどの雪の深さがありました。
この辺りまでは雪庇にさえ気をつけていれば危険箇所は特にないので雪山初心者にもおすすめです。
かなりの強風でトレースもすぐに消えていきます。バックカントリーの方はここの手前ぐらいで滑り降りていったのでここからは完全にソロとなりました。
大遠見山 12:00 → 西遠見山 14:00 テント設営
視界は悪くないが自分の足跡しかない。
西遠見でテントを張れるスペースがあるとのことでやってきましたが、見た感じそんな場所は全くありませんでした。ですがこれ以上進むこともできないので本日のテント場としました。
暴風が吹き荒れ、掘っても掘っても雪が降り積りなかなか進みませんでした。
1時間半掘り続けてやっと雪の壁で風邪を防ぐことに成功。一晩中風が止むことなく吹き続けていましたがステラリッジの耐久性には助けられました。
寒さにも耐え、熱燗を飲み熟睡できました。
西遠見山 7:00 →白岳 →五竜岳 9:40
朝目を覚ますとありえないくらいの美しい景色が広がっていた。昨日までの悪天候が嘘のような早朝の天気。
積もりたての真っ白い雪に当たるモルゲンロート。この西遠見から見えた双耳峰の鹿島槍ヶ岳は美しすぎました。
めちゃくちゃかっこいい!
五竜武田菱のモルゲンロートも信じられないくらい美しい。この辺りはかなり深い溝があったので足元には要注意です。
ここで自撮りした写真がYAMAPのフォトコンテストで優秀賞に選ばれました。
→YAMAP 1万5千点から選ばれた大賞決まる
赤く照らされる白岳は雪が緩くなると雪崩の危険性があります。時間帯を選び雪庇を踏み抜かないように注意する必要があります。
白岳への登りはなかなか急です。白岳の山頂直下には大きな雪庇が発達していることもありその場合はショートカットで五竜山荘へ向かうのではなく遠回りしてでも白岳の山頂経由のルートで行くべきです!冬の五竜岳の危険ポイントであり、雪崩を避けるためにも早めに通過したいです。
今日は先行者が1名のみです。小屋前で休憩し核心部へ向かうための準備。ここからが冬の五竜岳で最も気が抜けないポイント。初めてでソロなのでかなりビビってました。笑
冬の核心部はトラバースと氷壁と山頂直下の雪壁です。太陽が当たらない影の部分が多いこと、風が強く雪が飛ばされることから氷になっている箇所が多いです。
小屋を後にしスタートです。奥には真っ白な唐松岳が見えます。残雪期に縦走しましたが、少し難易度は高めです。
この手前の氷壁が長く、カチコチの氷で怖かった。ルートミスをした気もするがいけたので良しとする。夏に行った事があるとは言え、冬の五竜は見た目も難易度も別物になるので経験者と行くことをおすすめします!
カリッカリのトラバースを超えていよいよ山頂直下へ。この日は山頂から滑り降りるバックカントリースキーヤーがいました。びっくり!!
真っ白な鹿島槍ヶ岳も姿を表しテンションめっちゃ上がります!
新雪なこともあり難易度はあまり高くありませんでした。ここはコンディションによると思います。残雪期で踏み跡が多かった方が怖く感じました。
そして厳冬期五竜岳登頂!
真っ白な剱岳。
360°どこを見ても絶景が広がっていました!これ以上ないくらいの快晴と自分一人しかいないという爽快感。
山頂直下の雪壁です。なかなか角度はありますが新雪なので歩きやすかったです。
下るときにはバックカントリーの方々が登られていました!いつかBCは挑戦してみたい。
西遠見まで戻ってこれると一安心です。テントを撤収し降ります。
帰りには鹿島槍の「カクネ里雪渓」もどかーんと見れて大満足でした。
以上厳冬期五竜岳ソロテント泊の記録でした。
今回役に立ったエキスパートオブジャパンのワカン↓